1. Basilica of Saints Nazarius and Celsus
多くの観光客は城壁の方へ急いでしまうが、この街の歴史の本当の重みは、この教会の中に静かに漂っている。どっしりとしたロマネスク様式の身廊と、空高く伸びるゴシック様式の内陣が唐突に混ざり合った不思議な造りで、この地域が南部の伝統から北フランスの支配下へと移り変わった瞬間を物語っている。ステンドグラスはフランス南部でも指折りの美しさだ。特に「生命の樹」の窓は、電気の光では決して再現できない強烈な輝きを放つ。外の混み合った通りよりも涼しくて暗く、観光ルートの喧騒から離れて一息つくには最高の場所だ。
シテ(城塞)の中を歩いていると何度もこの教会の前を通るだろうが、ステンドグラスを堪能するなら太陽が高い時間帯に中に入るのがいい。音響も素晴らしく、運よく合唱の練習やパイプオルガンの演奏に出くわすと、石造りの天井に音が物理的な厚みを持って響き渡るのを感じられる。隣の城とは違い、ここは今も祈りの場として使われている。そのため、有料のモニュメントにありがちな観光地特有の浮ついた空気がなく、凛とした品位が保たれている。
入り口付近は団体客が来るとすぐに通りにくくなるので注意。そのまま翼廊まで歩けば、少し余裕を持って身近にガーゴイルを観察できる。頑丈で防御的なロマネスクのアーチと、繊細で光に満ちたゴシックの窓が隣り合わせになっている様子は、どんな解説板よりも雄弁にこの街の征服の歴史を伝えてくれる。